この冬は例年にないほどのインフルエンザの流行で不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
空気も乾燥し体調を崩しやすくなっているこの時期、免疫力が下がると風邪もひきやすくなってしまいます。
そこで、今回は【免疫力】を高めるポイントをお伝えしようと思います。
私たちの体内にはさまざまな種類の免疫細胞が存在しています。ウィルスや病原菌など、体にとっての異物が体内に侵入すると、体の免疫システムが働き、侵入してきた異物から体を守ってくれる機能のことを
【免疫力】といいます。
免疫機能が弱まると病気やがんのリスクが高くなり、また逆に免疫機能が反応しすぎるとアレルギー症状がおきやすくなってしまうというデメリットもあります。
免疫力が弱すぎることも、強すぎることもない、バランスのとれた状態を維持することが重要です。
運動は免疫機能を向上させるだけでなく、生活習慣病の予防や転倒、脳を活性化させるなどの効果もあります。
まずは1日に10分程度の体操やうっすらと汗をかく程度の散歩などの運動習慣を。
昼は交感神経が優位に働き、夜は副交感神経が優位に働くという切り替えをするためにも睡眠のリズムを確保することが重要です。
50年前とくらべると日本人の体温は0.7℃ほど低下しているといわれ、体温が1℃下がると免疫力は30%低下、反対に1℃上がると5~6倍にもなるそうです。
また、体温が高くなるととリンパ球が増えて活性化し、免疫機能が高まることにつながります。
免疫力を高めるための適切な体温である36.5℃~37.0℃を。
ストレスが過剰になると体内で「自律神経の乱れ」と「コルチゾールの過剰分泌」となり、免疫力が低下すると考えられています。
強いストレスにより自律神経のバランスが乱れると、内臓機能をつかさどる“副交感神経”の働きが悪くなることで、食欲不振や血行不良がおこり、免疫機能の中心的な役割を果たすリンパ球が正常に機能できなくなってしまいます。
笑うと副交感神経が優位に働き、がん細胞やウィルスを退治してくれる免疫細胞が活性化されるといわれています。
作り笑いでもそのような効果がみられるそうなので、笑顔を心がけて。
免疫機能を維持するためには、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルが必要です。
脂肪や糖分ばかりが多くなりがちな洋食にくらべ、和食は栄養バランスがいいのでお勧めです。
また、腸には免疫細胞の70%が集結しているので、腸内細菌のバランスがとれていると免疫細胞の活性化につながるので腸内環境を整えることも大切です。
細胞の主要な成分、食べると体温が上がり免疫細胞の働きがよくなります
豆腐・納豆・魚・肉・乳製品 など
免疫細胞の強化には必須の栄養素で、免疫機能の低下を防ぎます
ほうれん草やにんじん、ピーマンなどの緑黄色野菜
キウイやかんきつ類などの果物 など
活性酸素を除去し、細胞を若々しく保ってくれるので免疫力が高まります
赤ワイン・コーヒー・緑茶・紅茶 など
腸の炎症をしずめ、善玉菌が増えやすい環境を整えてくれます
まぐろ、いわし、さばなどの青魚・えごま油・アマニ油 など
腸の働きを良くする食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれているので、免疫力を高めるのにお勧めの食品です。きのこに含まれる食物繊維であるβグルカンという成分は、消化吸収されずにそのまま、腸の免疫細胞に作用するので、免疫力を高める効果があると言われています。さらに、がん予防や腸内環境を改善し便秘を解消する効果もあります。
腸内にはたくさんの腸内細菌が生息しています。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が増えると腸の働きが良くなり、反対に悪玉菌が増えてしまうと腸内の環境が悪くなってしまいます。
発酵食品にはさまざまな善玉菌が含まれており、これらの菌が腸内で短鎖脂肪酸をつくりだし、腸内を弱酸性にすることで悪玉菌の増殖を抑え、腸内に存在する善玉菌をサポートしてくれます。
発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌などの中には、生きたまま腸に届かないものもありますが、乳酸菌などの死骸は腸に届くと腸内の善玉菌の良いエサになるので、間接的に善玉菌を増やすことにつながります。
ヨーグルト・チーズ・納豆・味噌・酢・ぬか漬け・キムチ・ピクルス など
免疫力は年齢とともに低下してしまうので、免疫力を高めるためにも腸内環境を改善し、その働きを活発にすることが大切です。
免疫力を高めるための効果がある様々な成分をお伝えしましたが、腸内の環境も免疫細胞の働きも個人差があるため、特定の食品を食べれば免疫力が高まるというわけではありません。
ある人に効果があったからといって、別の人にも効果があるとも限りません。そのためにも、免疫力を高める効果のある栄養素を意識しながら、バランスよく食べることが一番大切です。